君のための嘘
「とうさまとかあさま、まだこないっ!」


先ほど飛び出すように出てきた車を振り返る。


車の側に立つ男女。


ラルフと夏帆だ。


あれから5年の歳月が流れていた。


夏帆のお腹は遠目から見ても膨らんでいるのが分かる。


「とうさまー!かあさまー!」


貴臣がもどかしそうに両親に手を振る。


それに気づいたふたりはにっこり微笑み、歩いてくる。


「おーおばあさま、とうさまとかあさまはとっても仲が良いんです」


少し誇らしげに言うひ孫が可愛い。


「ふたりは大変な時期があったのです 仲が良すぎるのはきっとそのせいですね」


曾祖母はにこやかに言った。


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