君のための嘘
貴臣が生まれてから孫たちは幸せな時間を過ごしている。


昔を振り返ると、後悔する事は多いが、彼らの幸せを見ている自分も幸せだと感じる。


「あ!またきちゅした!」


曾祖母の元を離れ、貴臣は両親の仲を邪魔しに再び駆けて行く。


「貴臣!」


転びそうになりながらも、一生懸命走ってくる息子。


ぶつかる元気あふれた体をラルフは抱き留め、息子を抱き上げる。


「ママっ!」


ラルフのミニチュア版のような息子に夏帆は笑みを浮かべる。


ラルフに抱かれた貴臣はその小さな体を伸ばし、小さな可愛らしい唇で夏帆の頬にキスをした。



2012.3.7  END



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