君のための嘘
彼らの姿はなく、うまく行ったと考えながら振り返った時、身体に強い衝撃を受けて地面にしりもちをついてしまった。


「きゃっ!」


ぶつかった衝撃で、かけていた黒縁のメガネが夏帆の顔から外れて飛んだ。


「すみません!大丈夫ですか!?」


慌てた男性の声が聞こえた。


「は、はい 私こそよそ見をしてしまって、すみませんでした」


よそ見をしていた自分の不注意だ。夏帆もすぐに謝った。


「お怪我はありませんか?」


男性は気遣いながら、夏帆が立ち上がるのを手伝った。


立ち上がったものの、メガネがないせいで男性の顔がよく分からない。


夏帆の視力は悪く、30センチ先になるとぼやけてしまう。


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