君のための嘘
リリはラルフの腕を離して、夏帆に近づく。


「リリさん」


ラルフが呼び止めるも、夏帆の顔をじっと見つめるリリ。


そして白魚のような手とは言い難い手を夏帆の髪に伸ばした。


夏帆は蛇に睨まれた蛙のように動けない。


そんな夏帆を見てリリはフンと鼻を鳴らす。


「原石みたいな子ね?手を入れればきれいになるわ」


リリは夏帆の髪の毛を一房つかむと、ぱらっと離した。


「ラルフたんの彼女なの?この子」


「そ、そんなんじゃないですっ!」


夏帆は大きく首を横に振って言った。


リリに睨まれながらでは、例えそうだとしても違うと言ってしまうだろう。


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