君のための嘘
「あの、すみません、メガネが落ちていないでしょうか?」


自分で探すより、彼に探しもらった方が見つかるだろうと夏帆は頼んだ。


男性は夏帆の足元に落ちているメガネを手にした途端、息を呑んだ。


「あぁ、これで……す……」


どうしたのだろう、彼は戸惑っているみたいだ。


「どうしたんですか?メガネ、下さい」


メガネがないことには、一歩も先に動けない。


「すみません、メガネが壊れてしまったようです」


男性は申し訳なさそうに言う。


「えっ!?見せてくださいっ!」


夏帆は慌てて手を彼に差し出しだすと、伸ばした掌にメガネが置かれた。


どんなふうになってしまったのか、夏帆は顔を近づけてメガネを見た。


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