君のための嘘
夏帆が入った部屋のドアが閉まると、ラルフは顔を歪めた。


まだだ……まだ早い……。


ラルフは大きく息を吐くと、自分の部屋に入った。



******



シンプルな部屋に入ったラルフは自分のベッドに腰掛けた。


そこへポケットの携帯が振動した。


携帯を取り出すと、着信の文字に一番信頼している親友 片山 侑弥の文字。


「はい」


『悪い、女と取り込み中だったか?』


出るのに時間がかかったせいで、片山は誤解を招く様なセリフを言う。


幼稚舎の頃からの友人だが、少し言葉が乱暴なところがある。


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