君のための嘘
それは名前と携帯電話の番号しか書かれていないものだった。


特に不思議と思わずに受け取った夏帆は大事そうに両手で名刺を包み込む。


「行ってくるよ 帰りは昨日と同じくらいになるよ」


「はい 行ってらっしゃい」


「あ、夕食は何も考えないでいいからね」


そう言い残して、ラルフは出かけて行った。



夏帆の口から小さなため息が漏れる。


昨日の朝食が、相当美味しくなかったみたいだ……。


何か恩返しできることはないかな……。


いくら考えても思いつかない夏帆だった。


日本のテレビは面白い。


朝のニュース番組を見ていると、いろいろな情報を教えてくれる。


しばらくコーヒーを飲みながら、夏帆はテレビを見ていた。



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