君のための嘘
「こんな所で偶然ね?侑弥、ラルフが女の子を連れているわ」


美由紀は夫と思われる背の高い男性に言う。


「あぁ、こんな可愛い子と、デートか?」


侑弥と呼ばれた男性の顔に笑みが作られた。


どうやら3人とも知り合いのよう。


マンションの近辺はラルフさんの友人が多いのを夏帆は感じた。


「夏帆ちゃん、侑弥とは幼馴染で、奥さんはモデルをした時からの友人なんだ」


デートと聞かれて、否定もせず、肯定もせず、夏帆にふたりを紹介した。


「岡本 夏帆です」


名前だけの挨拶をして、頭を下げる。


「もう出る所なんだ」


「私達もそうなの」


美由紀は夫に頷くと、彼は子供を連れてレジの方に向かった。


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