吸血姫デレキュラ
仕方なく俺は鳥居の外まで出て、ミイナに声を掛けた

「…おいミイナ…いい加減離してやれよ?」

するとまたミイナの表情はU・S・Sエンタープライズの自動ドアの音が聞こえそうな勢いで「シュコンッ」と変わった

「あん!もうっ!ヴァンったらぁ!ミイナを一人にしちゃ駄目なんだからねっ♪」

レンフィールドから脚を放し一足跳びでオレに飛びついてくるミイナ
相変わらずのスゲェ運動能力だ、アッチから12メートルはあっただろうに…

その様子を見ていたレンフィールドが大声でがなり立てる

「あぁっ!ミイナ様っ!ナンたる破廉恥なっ!レンフィールドは恥ずかしゅうございますぞっ!?」

ミイナはオレの首にぶら下がりながら細く形のいい眉をよせ、キーキーわめく縦長の特大備長炭を睨みつける

「うるさいわねぇ…ムード台無しじゃない!もう帰っていいわよ……ってぇか帰んなさいよ?」

真っ昼間の、しかも神社の前の往来でムードも何もないと思うがね……

「思い出して下さいっ!あなた様はルーマニアの竜公ヴラディスラウス・ドラクリヤ三世ワラキア公の末裔なのですよっ!?」

「またその話ぃ?……そんなのあたしのせいじゃないもん…止めてよ?」

「話途中悪いな……ミイナ…ちと重いんだけどさ?」

「や!愛情切れ?…ちょっと待って?」

オレの首から手を離して羽のようにフワッと地面に降りるミイナ、

「…うふっ…待っててねぇ?」

鼻歌混じりにオレのネクタイとワイシャツのボタンを手慣れた手つきで外していく。

「アタシもね?…少し………渇いてきちゃったトコ…」
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