マリア
「それは、原田だよ」
「えっ?」
マリアは徳二郎から写真を取り、今一度確認した。徳二郎の隣にいる青年の顔。確かに原田に似ている。だけど今と違い、髭もないし明らかに若い。そして隣に写っている徳二郎は今と変わらない姿でそこに居る。
「だって、これ」
徳二郎はマリアから写真立てを取ると、フレームをはずして写真だけをマリアに渡し、「裏を見て」と言った。マリアが写真を裏返すと、下の方に小さなかすれた文字で“1995.3.13 ドイツ赤十字社にて”と書かれていた。1995……これが日付ならば、この写真は今から十六年前に撮ったものということになる。これはどういうことなのか。マリアはすぐに理解することができないでいた。すると、徳二郎が信じられないことを言った。
「えっ?」
マリアは徳二郎から写真を取り、今一度確認した。徳二郎の隣にいる青年の顔。確かに原田に似ている。だけど今と違い、髭もないし明らかに若い。そして隣に写っている徳二郎は今と変わらない姿でそこに居る。
「だって、これ」
徳二郎はマリアから写真立てを取ると、フレームをはずして写真だけをマリアに渡し、「裏を見て」と言った。マリアが写真を裏返すと、下の方に小さなかすれた文字で“1995.3.13 ドイツ赤十字社にて”と書かれていた。1995……これが日付ならば、この写真は今から十六年前に撮ったものということになる。これはどういうことなのか。マリアはすぐに理解することができないでいた。すると、徳二郎が信じられないことを言った。