マリア
「僕と原田は同い年だよ」
 マリアは、ますます理解できずに、無意識に写真を握りしめた。
「同い年って…嘘。だって彼は徳二郎よりずっと年上…」
「原田は今年で四十になる。そして僕は、先月四十になったばかりだよ」
 徳二郎は何を言っているのか。どう見たって徳二郎が四十のおじさんに見えるわけが無い。
「じょ、冗談はやめてよ。いくら私が馬鹿だって、そんな嘘信じるわけないでしょ」
「マリア、うそじゃないよ」
「だって、そんなの信じられない。この写真だって合成か何かなんでしょう?わかった。こんな嘘をついて私と別れるつもりなんでしょう?そうよ。きっともう私に飽きたのね!そうなんでしょう!?」
 マリアは感極まって涙ぐみ、徳二郎を罵った。
「マリア、泣かないで。こんな話し信じろっていうのが無理だよね。だけど、信じて。これが……僕の病気なんだ」
 病気?これがって…年を取らないこと?そんなことがありえるの?マリアは徳二郎の顔を見た。
 確かに本当かもしれない。だって、いま目の前にいる徳二郎は、本当に天使のようだから――。
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