君の、瞳に。【短編】
「うそつきっ」
いやいやいや。
何だ、この人!
普通、初めて会った人の頬を舐めるか!?
「ねぇ、何で泣いてるの?」
「え。あ、あなたに関係ないです…っ」
そう言い捨てて、この不思議な少年とは関わらない方がいい、そう思ったあたしは、少年の側から立ち去ろうとした
…が。
今は台風で、雨がひどい。
そんな中に、傘もささずに。ただフードつきの黒い長すでを着ているだけの、ありえない格好の少年をほっとけるはずもなかった。
「……」
傘をかすか?
…いや、そしたらあたしも危険だ。
じゃあ服?
…って、こんな女モノの服をこの人に?
てか、まず。明らかにあたしの服じゃ小さいだろう。