君の、瞳に。【短編】
バチャバチャ。
「…っ」
学校帰り全速力で道を走る。
上からは、ザァザァと雨が降ってる。
…あっくんに会える。
「っあっくん」
言いたいことがある。
伝えたいことがある。
だから、会いたい。
今すぐ会いたい─…
「………え」
公園に入って、あたしはそう呟く。
いつも、あっくんがいる場所。
そこに、誰もいない。
雨の日は必ずそこにある姿が、ない。
「…あっくん?」
───瞬間。
“…………ばいばい”
あの日、そう言った君の言葉と切ない顔を思い出した。
そして、あっくんが消えてしまいそうな、あの不安を。