君の、瞳に。【短編】




バチャバチャ。



「…っ」


学校帰り全速力で道を走る。


上からは、ザァザァと雨が降ってる。



…あっくんに会える。




「っあっくん」



言いたいことがある。

伝えたいことがある。




だから、会いたい。

今すぐ会いたい─…









「………え」



公園に入って、あたしはそう呟く。


いつも、あっくんがいる場所。



そこに、誰もいない。





雨の日は必ずそこにある姿が、ない。



「…あっくん?」



───瞬間。


“…………ばいばい”


あの日、そう言った君の言葉と切ない顔を思い出した。



そして、あっくんが消えてしまいそうな、あの不安を。






< 21 / 54 >

この作品をシェア

pagetop