君の、瞳に。【短編】
「っ」
いや…違う。
そんな訳ない。
あっくんが消えるなんて、絶対にそんなわけない。
「……ないよ…っ」
あたしは、いつもあっくんが座る場所に座る。
…きっと、何か買いにいったんだ。
そうだ。
だから、ここで待ってれば会えるに決まってる…
絶対に。
会えるに決まってる―…
“…………ばいばい”
「そんな訳ない…っ」
だって、やっと気付いたんだよ?
…ねぇ、あっくん。
あなたに会って伝えたいことがあるんだ。
だから、だから─…
「…来て」
…でも、その日。
何分待っても、何時間待っても、あっくんがくることはなかった──……。