君の、瞳に。【短編】





「ねぇ、カエ」

その言葉にあたしは顔をあげる。



「俺ね、決めたよ」



…決めた?



「何を…?」

「カエがいい」



あたし?



「俺の世界が終わる時、俺、最後にカエが見たい」

「っ」



その言葉に、また涙が出てくる。




「…あっくんっ」

「ん?」

「好き…」



そう言うと笑うあっくん。




「俺のが好きだよ」

「ううっ…あたしのがす…」



そう言い掛けた瞬間、温かいものが唇に触れた。







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