【十の瞳】
室内に、緊迫した空気が漂う。
「今日は、全員で同じ部屋にいよう……。
お互いに、監視し合うんだ。
それならきっと、犯人だって下手に動けないさ。
――まず、タキさんに事情を話そう。
それから、ベッドをここに運んで……無理ならソファーでもいい。
順番を決めて、仮眠もここでとるんだ」
全員が頷いた。
あの八野でさえ、文句一つ言わなかった。
確かにそれが、一番安全だろう。
僕達は、篭城の準備を始めた。
しばらくは、バタバタとしていた。
やがて、グースがラジオを見て悲鳴を上げた。
「どうしたんですか?」
僕が駆け寄ると、グースは銀色の細長い棒を掲げ、
「こっここ、これが……アンテナが、折れて……!」
ラジオに取り付けられていたはずのアンテナは、本体からもげていた。
瞬間的に、ファニーペインがグースに掴みかかった。
「テメーがやったのかよ!」