【十の瞳】



(雨っていうか、嵐だよな、これは……)



何故かほんの少し、不安がよぎった。


明日の事もあって、緊張しているのだろうか。


楽しみではあるものの、何となく怖いと思う。


って、遠足前の小学生じゃあるまいし……。
 


見れば、既に何人かが舟を漕ぎ、ファニーペインに至っては酒盛り開始から、ハイペースで勧められるままにグラスを空け、


今はもう、ソファーで空のボトルを抱えたまま酔い潰れていた。


口をぽかんと開けて、すうすう寝息を立てている。


僕はその顔つきが、意外と幼い事を発見した。


そして、散々飲み食いして散らかした部屋をそのままにする気にもなれず、


簡単に片付けをしていると、僕もだんだん眠くなってきた。



結局、飲んでも変わらないのは、えどがぁさんと、グースだけだった。
 


草木も眠る丑三つ時――酒盛りは、お開きとなった。




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