【十の瞳】
未だに読み方の分からない名前だが、このユーザーは、『名探偵』の常連だった。
もうこの人だけは、殿堂入りとして別枠にするべきだと、様々な方面から怒りの声が上がるほどの天才だ。
あるいは、【四十八願十二愛】というユーザーなど存在せず、
管理人が模範解答を載せているなんていう説まで、どこかのサイトでまことしやかに語られていた。
【えどがぁ】も【四十八願十二愛】も……この中にいるのか。
しかし誰だか分からない。
参加者はバスに乗り、ただ滞在先の説明を受け、名簿を渡されただけに留まり、お互いの自己紹介やらはまだしなかった。
各々勝手にやってください、という事だったのかもしれないが、
大型の観光バスの座席に一人一人が離れて座っている以上、わざわざそんな事をする参加者はいなかった。
皆、自分の世界に入り込んでいる。
音楽を聴いていたり、ゲーム機をいじっていたり、顔にタオルを被せて眠っていたり。