今日降る雨、明日吹く風
――2011年12月――
2011年もあと少しで終わろうとしている
新しい年が来ても 全てが生まれ変わる訳もなく
それぞれの問題を抱えながら新年を迎え 未だに解決していない問題がある事すら忘れ『今年は良い年になりますように』と、口癖のように言い 日頃は存在さえも認めていない神様に一方的に頼むのである
この男も 毎年問題を抱え 口癖の"神頼み"をし 何事もなかったように新鮮な気分で新たな年を迎えようとしている一人だった―――
『………ぅ………ん…?』
男の目には見たことのない壁が広がっていた
『…ここ…何処だ…?』
寝ていた体を起こそうとし 頭にズキッと痛みを感じる
『ッッ!!?』
男は酔って家の廊下で大の字で寝ていた…のではなく さっき思い切り投げた置き時計の部品が見事に額に当たり気絶していたのだ
『…ぁ〜…頭痛ぇ…』
起きてすぐに自分に何が起きたのか分かる訳もなく 今はその痛みに顔を歪める事に夢中なっていた
『しかし…何で俺がこんな目に……』
時間が経ち 痛みも和らいできたところで今の状況を呑み込もうとするが 額の傷が気になってそれどころではなかった
『明日になったら酷い傷跡になってるな…クソッ…、今日は寝ないで冷やすか…』
そう悲しみに浸した顔で呟いた