今日降る雨、明日吹く風
〜女〜
バタンッ
女は力強くドアを閉め、エレベーターへと歩を進めた
女『なんで私ばっかりこんな目に遭わないといけないのよ…』
何年も漬けた梅干しを食べたかのように顔をクシャクシャに歪め 悔しさと苛立ちでできた涙を流し歩く
ガシャーン
何かが割れるような音が聞こえた気がしたが、怒りに任せ振り向かずに歩いた
エレベーター前までやってきてボタンを押す
女『……………もぅッ!何で動かないのよ!?』
ここは8階なのでエレベーターを使わないと降りるだけでも堪えるが、何故か動く気配もなく1階で止まっているエレベーターに痺れを切らし階段で降りる事にした
………7階………
………6階………
………5階………
本来なら勢いに任せ走って降りる場面だが、ヒールを履いていた為にゆっくり慎重に降りる
女『こんな所で転んで怪我なんてしてたまるもんか』
女は男と違い、こういう時は冷静になるものなのだ
そしてようやく1階にたどり着き、エントランスから外へ………は行かず、何を思ったかエレベーターの方へ歩きだした