今日降る雨、明日吹く風
結局何事もなく駅前に着き、ポツポツと何件かの看板の明かりが目についた
女『へぇ〜、こんな駅でもこんな時間まで営業してる店が何件もあるのね』
その“何件”にはもちろんキャバクラやパブも含まれるのだが、個人経営の居酒屋も2件ほど見えた
女『そう言えばこんな時間に駅前に来たことなかったものね………ムッ…』
いつの間に忘れていた怒りがまた再発した瞬間に、怒りを静める“ある事”を思い出した
女『お化粧直さなきゃ』
もし今の状態で居酒屋に入ろうものなら“黒い涙を流す女”なんて不名誉なアダ名が付けられていたかもしれない
もう二度と来ないであろう駅なんだから、なんと思われようが良いじゃないかと男性は思うかもしれない
しかし、いくつになっても綺麗と言われたい女性としてのプライドが許さないようだ
駅前なだけあり、24時間営業のコンビニを安易に見付ける事ができた
もし此処が女の実家のように何もない田舎だったら、今では当たり前のコンビニさえ夜中は閉まっているし、寧ろ居酒屋さえも1時頃には終わってしまう
ピロリンピロリン♪
自動ドアが開くと勝手に鳴る呼び鈴がこの時だけは鬱陶しく感じる
コンビニの奥の方を見ると簡易に男女の絵が書かれた青と赤のマークが見えたので、店員が『いらっしゃいませ〜』などと言ってくる前に、黒い涙を流す女の顔を見られる前に足早に向かった