リアル




「レトルトを温める用に」


隆は素直に答えた。


隆は料理をせずに、いつも買ったもので食事を済ませていた。


弁当を買うより、レトルトの方が安上がりだし、ゴミも少なく済むのだ。


「成る程な」


生野はその答えにはさして興味がないようだった。


「ま、寛いで待ってろよ」


隆は生野が何をしたいのか分からずに、取り敢えずその言葉に従った。


この部屋に限らず、自分一人が暮らす空間に誰かが入ってくるのは初めてのことだ。


だからか、妙に落ち着かず、寛げと言われても、その通りには出来ない。


座るだけ座り、台所にいる生野を気にするしか出来なかった。


どうやら生野は料理を始めたようで、台所からはがたがたと音がする。


何故、というのが隆の思ったことだった。


何の為に生野がわざわざ、ここで料理などをしているのだろう。




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