リアル




「人気あるサイトなの?」


「……何でですか?」


川原は目も合わせずに言った。


この娘は誰と話す時もこんなふうに目を合わせることをしないのだろうか。


「ああ、うちの弟も何かブログ書いてるみたいだから、同じサイトなのかな、と思って」


薫は出来るだけ世間話のように話した。


だが、いつも挨拶程度しか会話を交わさない相手にこんなふうに話し掛けられて不審に思わないわけがない。


案の定、川原の横顔は疑わしいものだった。


「あ、ごめんね? ブログなんて、知ってる人に読まれたくないよね」


薫は慌てて笑顔を作った。


そもそも、ブログというのは人に読んでもらう為に書くものだ。


だが、川原は見られたくないような表情をしている。


ということは、あの「リアルサイト」を使っているということで間違いないだろう。



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