リアル
リアル7
「あのさ……」
薫は隆の声に顔を上げた。
隆の顔は髪の毛でまだ見えない。
綺麗な茶色がカーテンの隙間から射し込む夕陽に映えて更に美しく見える。
「何?」
薫は手を開いた。
「答えたくなかったらいいんだけどさ」
隆は口の中でごもごもと喋っている為、少し聞き取りづらいが何を言っているかは分かる。
「うん、何?」
薫は落ち着いた声で返事をした。
今一人でなくてよかったと、心から思った。
こんな感情に襲われる時、いつも一人でいた。
そして、どうしようもない想いを抱えながら、泣くことも許されないような気がして、いつも一人で頭を抱えていたのだ。
なので、こうして隆がいることで、大分楽な気持ちになれる。
「……妹さんて、何で殺されたんだ?」
隆の言葉に薫は息を飲んだ。
今しがたまで考えていたことを見抜かれたような気持ちになったのだ。
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