リアル





なら、こんな感情を抱くこと自体間違いなのだ。


いや、それよりもっと根本的なところで間違えている。


自分に誰かを想う資格などないということ。


死ねばいいと思い続けたが故に殺されてしまった両親。


実際はそうではなく、ただの運命の悪戯なのだろうが、自分をそう戒めて生きていくしか、生きる理由がない。


そして、いつかは殺人犯になる。


そんな自分が誰かを想っていいわけがない。


駄目に決まっている。


隆は邪念を振り払い、また美緒の観察を始めた。




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