リアル
「何食べたい?」
駅前に着くなり、薫は隆に尋ねた。
自分も空腹は感じてはいるが、特に食べたいものは思い付かない。
隆も同様らしく、首を傾げた。
駅前は予想通り沢山の店がある。
だが何処も入ったことがないので、味は分からない。
「そこでいいよ」
隆が指差した店はこじんまりとした洋食店だった。
確かに無難な店だろう。
薫は頷き、その店を目指した。
古ぼけた看板は味の保証をしているようにも思える。
「生野さんから連絡あったか?」
薫と隆は窓際の席を選び腰を下ろした。
「ないわ」
昼時にも関わらず、客の数は多くない。
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