リアル




「何食べたい?」


駅前に着くなり、薫は隆に尋ねた。


自分も空腹は感じてはいるが、特に食べたいものは思い付かない。


隆も同様らしく、首を傾げた。


駅前は予想通り沢山の店がある。


だが何処も入ったことがないので、味は分からない。


「そこでいいよ」


隆が指差した店はこじんまりとした洋食店だった。


確かに無難な店だろう。


薫は頷き、その店を目指した。


古ぼけた看板は味の保証をしているようにも思える。


「生野さんから連絡あったか?」


薫と隆は窓際の席を選び腰を下ろした。


「ないわ」


昼時にも関わらず、客の数は多くない。



.
< 74 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop