∮ファースト・ラブ∮
焼却炉がある場所。
そこはオレたちの校舎から歩くこと五分。
離れた旧校舎の一角にある。
コンクリートの匂いから一転して木材の古びた匂いがオレの鼻をくすぐる。
息を切らせて走るオレと久遠の先。
…………いた。
紀美子だ!!
手鞠ちゃんは…………?
くっそ!!
校舎の角で紀美子しか見えねぇ!!
「紀美……」
オレはすぐさま紀美子を止めに入ろうとした。
横から入ってきた手は、進むオレの体を制した。
隣を見れば、行く手を阻んだのは久遠だとわかった。
なんで、なんでだよ久遠。
紀美子と一緒にいるの、手鞠ちゃんかも知れねぇんだぞ?
紀美子に何かされたら、手鞠ちゃんが傷つくんだ!!
それが怖くて、お前はオレと一緒にここまで来たんだろ?