∮ファースト・ラブ∮

あ、そうだ!!

あたし、葛野先輩が心配してここまで来てくれたっていうのに感謝の言葉も言ってない!!


「く……」

大きな声で葛野先輩の名前を言おうとした時だった。


「…………むぐ」


あたしの口は、誰かによって塞がれた。

そう思ったら、誰かに体を引っ張られた。


だれ?

誰がこんなことするの?


やだやだ!!


あたしを引っ張る強い力に抵抗しようと体をひねる。


「む!!」


葛野先輩と紀美子先輩が遠ざかっていく……。


やだ!!

や、置いてかないで!!



こわい!!

助けて!!



そう思っても、口を塞がれているから言葉には出せない。





麻生先輩助けて!!








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