∮ファースト・ラブ∮
ぼくとは正反対の彼女。
その正反対の性格ゆえ、ぼくは彼女に惹かれているのかもしれない。
できることなら、こうして、このまま、
『ぼく』という檻の中に彼女を仕舞いこんでいたい。
彼女のあらゆる部分にぼくという証をつけてしまいたい。
しかし、それは所詮かなわぬこと。
そんなことをすれば尚吾(しょうご)は、ぼくにとって彼女がかけがえのない存在だと知り、傷つけるだろう。
……かつて付き合っていた彼女のように……。
まったく……紀美子は余計なことをしてくれた。
彼女を懲(こ)らしめることさえ……。
……ここに呼び出すことさえしなければ、
ぼくは彼女にこんな強い想いを抱かずにすんだかもしれない。
――いや。
こうなることは目に見えていた。
手鞠ちゃんに告白されたあの日から、もうすでに魅了されていた。
遅かれ早かれ、この感情に辿りつくのは結果として見えていたことだった。
体を強張らせ、ぼくに手紙を渡してきた女の子は、元々気が強い女の子のようだ。
それは、彼女の起こす行動でわかっていた。
わかってはいたが……まさか、紀美子の暴力に対抗するとは思わなかった。
ぼくが好みとするタイプとは全く違った女の子。
香織(かおり)とも、香織を吹っ切ろうとして付き合ったあの娘とも違う性格の女の子。