∮ファースト・ラブ∮
――――かわいい。
「何?
怒らないから話して?」
時が止まったかのように俺を放さない瞳に向かって続きを促(うなが)せば、
彼女は弾かれたように、また瞳を動かす。
う~ん。
どうやらぼくに見惚(みと)れてくれたようだ。
話を訊きたいが、このまま見惚れてくれても一向にかまわないと思う自分もいる。
だって、彼女と視線を交えることができるから。
静かに……永遠とも思える時間を、ずっと……。
「…………あの。
いつから……ここに?」
口ごもる彼女がやっと話しはじめた。
「?
ずっといたよ?
君が紀美子といい合いをしている時から」
「そっそれって!!
やっぱり……あの……見てました?」
ぼくの言葉にしどろもどろになる彼女。
何か見られて都合の悪いことでもあったのだろうか?
「ああ。
一部始終」