∮ファースト・ラブ∮

「ぷっ。


あははははは……あははははは。


手鞠ちゃん、かわいすぎ。


くっははははは」



こんなに笑ったのは久しぶりだ。


手鞠ちゃんは不思議な娘だね。


荒れていた心を、すべて吹き飛ばし、穏やかな風を送り込んでくる。



「っく……あはははははは」




その日、ぼくは手鞠ちゃんを抱きしめたまま、大声で笑っていた。



手鞠ちゃんは、しばらくの間笑うぼくを見つめて放心状態だったものの、

頬を膨らませて拗(す)ねてしまったけれど……。




その姿さえもかわいい。



今だけ。

今だけでいい。



このまま。

君を……君だけを考えて笑わせて欲しい。





好きだよ。


君が愛おしい。




香織よりもずっと……。




誰よりも…………。


この感情は、想いは……おそらく、君だけだ。



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