∮ファースト・ラブ∮






その日から、手鞠ちゃんを見るぼくの目が変化した。

あ、あと、紀美子の手鞠ちゃんに対する付き合い方も……。

あれからぼくはどうしたかって言うと、手鞠ちゃんと一緒に居ると、紀美子と睦に連絡した。


その後は散々だった。

睦は急いで仲介に入ったというのに馬鹿にされて終わったと嘆いていたし、

紀美子からは、手鞠ちゃんを独り占めするなと怒鳴られた。

そして、すぐに彼女のあたたかい体はぼくから離れて紀美子の中に入った。


それはもう、すっぽりと。




物悲しくなったのはいうまでもない。




そしてまた、ぼくと手鞠ちゃんの関係は今日も続いている。







毎日、休み時間の度にやって来る彼女はとてもかわいいもので、

知らず知らずの内に、他の女性たちとは違った目で彼女を見てしまう。


彼女に想いを寄せていると実感してからはキスはしていない。

キスすれば、おそらく、尚吾に気づかれると思ったからだ。



尚吾に悟られないよう、隠しているつもりだった。



だが、何事もそんなに容易(たやす)くいくものではない。



思い知らされたのは、月曜日。

手鞠ちゃんと付き合いはじめて2週間と少し経った時だった。






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