∮ファースト・ラブ∮
香織さんに話をしようと思ったあたしの意図……それは……。
香織さんに今も想いを寄せている麻生先輩のことをどう想っているのかが訊きたかったから。
もし…………もし、今も麻生先輩を想っているのなら、一緒にいてあげてほしい。
仲良くしてほしい。
笑い合ってほしい。
そう、思ったの。
余計なお世話だってことも知っている。
知ってるけど、やっぱり放ってはおけないから……。
だって、好きな人にはいつも笑っていてほしいもん。
「あなたは?」
教室から出てきたのは、とても儚い、守ってあげたくなるような、そんな女の人だった。
この人が……麻生先輩の好きなひと…………。
ほんとだ。
あたしとは全然違うタイプの綺麗な女の人だ。
チクリ。
実感すれば、やっぱり胸は痛みはじめる。
「あたし、華原 手鞠っていいます。
麻生先輩のことで、お話がしたいです」
そう言えば、香織さんは目を大きくひらいて唾を飲んだ。
香織さんは、麻生先輩のこと……少しでもまだ好きでいてくれているみたいだと、その反応でわかった。