∮ファースト・ラブ∮
「違うだろう?
手鞠ちゃんと居た時は、こんな頻繁(ひんぱん)に女を抱かなかったじゃないか!?」
睦の言葉はぼくが思っていた意味だったようだ。
首を振って睨みをきかせてきた。
やはり、そのことか……。
どうやら睦はぼくに説教をしに来たらしい。
ぼくは、あからさまにため息をついた。
「なんだ……そんなこと?
いいじゃん。
ぼくは彼女に飽きたんだ。
女性はやはり、お淑やかな方がいいね」
手鞠ちゃんのことを考えたくなかった。
考えれば、胸が痛みはじめる。
彼女の、最後の泣き顔が忘れられないんだ。
もういいか?
これで終わりにしてほしい。
手鞠ちゃんがいたという事実が、ぼくに重くのしかかってくるから。