∮ファースト・ラブ∮
「そうだとすれば、どうだって言うんだよ!!
ぼくは、もう手鞠ちゃんを想う資格なんてない!!
ぼくは、あんな純粋な人間じゃない。
彼女にはつり合わない!!
だったらせめて、これから先、未来、彼女とつり合う男に渡した方がいいだろう?
こんな……こんな汚いぼくが彼女の隣に居ていいはずがないんだよ!!」
一気に言えば、ぼくの心はまた、深い闇の中に捕らわれてしまった。
肩を上下させたぼくと睦以外、誰も居ない保健室は静まりかえる。
ただ、睦の唾を飲む気配だけがあった。
「……お前……そこまで……手鞠ちゃんを……?」
ああ、そうだ。
だから言いたくなかった。
言えば、ぼくはこの深い悲しみと一生付き合っていかなければならないと思ったからだ。
香織の想いを遥かに超えたこの感情。
これが、今のぼくには邪魔で仕方なかった。