∮ファースト・ラブ∮
ほどなくすると、目の前の扉はゆっくり開いた。
中から出てきたのは、年のころなら24歳前後だろうか。
手鞠ちゃんによく似た女性だった。
だが、彼女は手鞠ちゃんではない。
手鞠ちゃんは……どちらかといえば、太陽のような明るい雰囲気を纏(まと)ったかわいらしい女の子だ。
この女性は……可憐という言葉が似合うだろう。
手鞠ちゃんと同じような大きな瞳でぼくを見上げてきた。
年齢的に言うなら、彼女は手鞠ちゃんのお姉さんだろう。
だが、手鞠ちゃんは一人っ子だと聞いたことがある。
ひょっとして……………。
「あの……手鞠ちゃんのお母さんですか?」
ぼくは焦る気持ちを押し殺して目の前の女性に訊ねた。
「あなたは……!!」
女性はぼくを見るなり、大きな目をより大きくさせた。
「百合(ゆり)?
どうした?」
家の中から、男性のしっかりとした足取りがこちらにやって来た。