∮ファースト・ラブ∮

2年前………………。


猛暑………………。



まさか…………まさか……。


海の中にいた、あの女の子のこと?






その日も女性と遊ぶため、近場の海に来たんだ。


香織への想いを煮え切らないままいたぼくは、相変わらずの日々を送っていた。





彼女から少し離れて泳いでいた時だった。




海の中に………………。



女の子がいたんだ。








その子は網に引っかかっていた。


年のころは中学生くらい。


海の中にいる彼女の、漆黒の髪は海草のように美しくゆらめき、



白い肌は深い海の色と相まって、とても綺麗だったのを覚えている。



大きな瞳はぼくを見据えて悲しみの色に染まり、

保護欲をそそられた。



気がつけば、ぼくの体は勝手に動き、彼女を助けていた。



だけど、彼女の姿は一風変わっていて……。




足はない。


代わりについていたのは、魚の…………。







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