∮ファースト・ラブ∮

うそ?


なんで?











なんで……麻生先輩がここに……いるの?













「手鞠ちゃん」


あたしが戸惑っていると、麻生先輩は近づいてくる。




「なんで?」


――どうして?


「麻生先輩が」

――ここに

「いるの?」



「手鞠ちゃんが、手紙をくれたから、気になって……」


手紙……あれは、最後の最後の悪あがきだった。



あたしが生きたことの証を、先輩に残しておきたくて、書いてしまったものだった。


往生際の悪い自分が嫌になる。

でも、でもそのおかげでこうやって、最後の最後に会えたことは、単純に嬉しかった。




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