∮ファースト・ラブ∮
手鞠ちゃんは……泡になって消えてしまった。
救えなかった。
遅かった…………。
「手鞠ちゃん君は、馬鹿だ」
こんなどうしようもない、過去に縛られ、尚吾(しょうご)から害を加えられることだけに怯え、毎日、毎日、自分から逃げる臆病者を好きになるなんて……。
かけがえのない、大切な命を、こんなどうしようもない奴に賭けるなんて……。
「君は、どうしようもない、
大馬鹿者だ」
だが、君以上に馬鹿なのは、このぼくだ。
好きな人、ひとりさえも守ることができないなんて……。