∮ファースト・ラブ∮
時間というのは、過ぎるのがなんと早いことだろう。
今朝、君と会った時。
無限に広がる空は、真っ青だったというのに、今は、朱色に染まっている。
まるで、血の色のようだ。
ぼくはまた、今朝と同じように手鞠ちゃんを失った場所で、悠久(ゆうきゅう)に広がる海を眺めていた。
太陽は海へと消えていこうとしている。
――――このまま…………。
太陽と同じように、ぼくも君と共に姿を消したかった。
ぼくひとりをおいて、行って欲しくはなかった。
この、どうしようもない喪失感は、時が過ぎれば解決してくれるだろうか?
いや、この想いは永遠に消えはしない。
ぼくはね、思うんだ。
君以上に大切だと思えるような、そんな人はいないと。
ぼくが愛おしいと思える人は、君だけなんだ。