∮ファースト・ラブ∮
「手鞠!!」
「手鞠ちゃ―――――――ん!!」
やがて、ふたりの姿があたしの視界におさまると……。
「おか……さん。
おと…………うさん…………」
鼻の奥がツンとした。
もう……二度と会えないと思っていたお母さん。
もう……二度と話すことができないと思っていたお父さん。
そんな両親と……また…………会えた。
また……………言葉をかわすことが――――――できる。
「お母さん!!
お父さん!!」
あたしは砂地から立ち上がって、こっちへと向かってやってくるお母さんとお父さんへと足を向けた。
一歩、足が砂地を踏むと、お母さんとお父さんに向かう足の速度は少しずつ速くなっていく…………。
だけど、砂の地面はやわらかくて、あたしの足は何度となく砂に埋もれてしまう。
何回も何回もコケそうになる。
「おかあさん、おとうさん!!
ふえええええええええええん!!」
「手鞠!!」
「手鞠ちゃん!!」
…………やっとのことで、お母さんとお父さんの元へとたどりつくことができたあたしは、ふたりの……あたたかな腕の中で……。
めいっぱい泣いた。
「ふわあああああああああああああああん!!」
麻生先輩のとっても優しい笑顔に見守られながら…………。