∮ファースト・ラブ∮
――――あ、まずった。
ここは手鞠ちゃんのご両親のいる家だったと気がついた。
百合さんを見れば、綺羅さんの隣でにっこりこちらを見て微笑んでいた。
ちゅっ。
「!!」
リップ音と共に、やわらかい感触がいきなりぼくの唇に当たった。
何事かと思って隣を見れば、手鞠ちゃんの頬が桃色に染まっている。
どうやらぼくの唇に当たったのは手鞠ちゃんの唇だったようだ…………。
そう、確信した。
ゴホン。
「百合、食べるぞ」
綺羅さんは、そんなぼくと手鞠ちゃんの行動を見なかったことにしてスプーンを手にした。
すると……。
ちゅっ。
綺羅さんの目が大きくひらかれる。
――――百合さんだった…………。
「綺羅ちゃんも、してほしいのかと思ったんだけど。
違った?」
上目遣いでそんなことを綺羅さんに言った。
これは…………百合さんの一本勝ちか……。
「お、おまっ!!
なに!!
百合、ここには客人がいるんだぞ!?」
今まで冷静だった綺羅さんの顔が一気に赤くなる。
声も裏返っている。