∮ファースト・ラブ∮
「ほげえええええええええ!!」
「手鞠、うるさいぞ」
朝からおかしな悲鳴をだすもんだから、ついにお父さんに怒られた。
だって、だってだってだってだって!!
あたしの鎖骨のとこ。
赤いアザみたいなのがあるんだもん!!
それは虫にかまれたものじゃない。
――――心当たりが…………ある。
……そこは昨日、麻生先輩にキス…………されたとこ……。
こ、ここここここっこ、「コケコッコー!!(これって……まさかのまさか!!)」
「手鞠!!」
思わずまたまたおかしな悲鳴? をだしたあたしに、お父さんはまた怒った。
だって、これって、きっと……たぶん……いや、ぜったい。
『キスマーク』というものではないでしょうか!!
これから麻生先輩に会うんだよ?
どんな顔をして会えばいいの?
恥ずかしいじゃんか!!
あたしはバカだ。
なんで昨日まで気づかなかったんだろうか……。
何も気づかないで麻生先輩の側にいたって、なんのギャグでもない。
麻生先輩、キスマークに気づかないあたしを面白がって見ていたんだろうな。
ピンポーン。
鏡の前でワタワタしていると、チャイムの音が鳴った。
これわ、まさかまさかの麻生先輩だ。