∮ファースト・ラブ∮
今はお昼休憩。
ってことは……!!
「あいちゃん!!
ありがとう!!
早速行ってくる!!」
ガタンと大きい音を立てて椅子を引くと、すぐに駆け足で教室を出た。
後ろではあたしを呼ぶあいちゃんの声が聞こえるけど、とりあえず理由は後で言おう。
まずは、8組に直行!!
「こんにちは!!」
勢いよく3階まで走ってきたもんだから、息は切れる。
肩を上下させて8組を覗けば…………。
いた!!
探し人である先輩を見つけた。
「先輩!!」
あたしは大きな声を出した。
あたしの存在に気がついたのは、お猿さんな先輩、葛野(くずの)さん。
「や、手鞠ちゃん。
相変わらず元気がいいね」
人懐っこい笑顔を向けてあたしに話す。
「だけど、ごめんね。
今は麻生いないんだ。
先生に頼まれごとされててね」
葛野先輩は眉根を下げて謝ってくる。
そうなんだ。
でも、そっちの方が都合良かったりする。
今回、あたしが用事あるのは葛野先輩だから。