∮ファースト・ラブ∮
「睦!!」
久遠はドス黒いオーラをオレに向けて睨(にら)んでくる。
うお~。
お前そんなに手鞠ちゃんのことが心配なんか……。
「ねぇ、久遠くん、手鞠ちゃんって……だれ?」
何も知らない久遠の取り巻き女性陣は怒りオーラ真っ最中の久遠に話しかけてくる。
だが、久遠は女子の話に耳を傾けようとしなかった。
ふむふむ。
なるほど……。
って、それどころじゃねぇ!!
「久遠、手鞠ちゃんの教室ってどこ?
紀美子が手鞠ちゃんを狙った!!」
「なっ!!
どうしてそのことを早く言わないんだ!!」
久遠は苛立ちを隠せないご様子でオレから手を離し、取り巻いている女子を振り切って走りだした。
『久遠!!!』
遠くから女性陣の声がした。