∮ファースト・ラブ∮
「え?
茶髪で巻き髪の派手な女の人?」
図書室に続く廊下の端。
オレと久遠はそこにいた。
髪をひとつに結んでいる、いかにも勉強が大事っていう女の子に話しかけた。
「あ、あの人かな?」
その言葉に、オレは食いついた。
「え?
どんな感じの人?
どこに向かったかわかる?
誰か一緒だった?」
まくし立てて言葉を一気に出せば、女の子は一歩後ろに下がりながらも丁寧に返事をしてくれた。
「あ、うん。
えっと……その人なら、焼却炉の方に歩いていったよ?
髪の毛が腰あたりまである、かわいい女の子と一緒だった」
手鞠ちゃんかも!!
久遠に目を向ければ、久遠もまた、オレと同じ考えだったようで、目が合った。
「さんきゅ!!」
オレは彼女にお礼を言うと、すぐさま焼却炉へと向かった。