銀狐の住む街へ -手紙-【完】
カーテンを開けると雪が降っていた。
久しぶりのホワイトクリスマス。何年ぶりだろう。もうずっと雪のないクリスマスに慣れてきたものだから、白銀のクリスマスなんて珍しいとも思う。
外に出てみれば、真冬の寒さが肌を竦めた。
私は古くさい赤色のポストへ歩み寄り、今朝の新聞と他の郵便物を取り出してまた室内へと戻る。
一つ一つ封を切って、中を開けていく。
「…………」
ふと、一つの手紙に書かれた筆跡のことが気になった。まだ内容は読んでないけど、どこか懐かしい、カクカクとした綺麗な字。
差出人は、
「……亞月(あづき)?」