銀狐の住む街へ -手紙-【完】
*
結局匠は、グッスリ眠ったまま起きてくれなかった。
だから寒い雪の中を、私は一人で歩かなくちゃいけないはめに……。
「くそぅ、匠めっ。連れて行くくらいいいじゃん、一人じゃ寒いじゃん!」
私はブチブチ言いながらも、目的の場所へと辿り着いた。
ピンポーン。
『はいー』
「あっ、庵田(あんだ)真左です」
『……真左? あー、ちょっと待って。今出るから』
彼はインターホンを切り、玄関のドアを開けた。