銀狐の住む街へ -手紙-【完】
「ごめんなさい、お仕事中……でしたよね?」

「ははっ、なんだよ急にしおらしくなりやがって。そういうことだけど、大丈夫だって。あ、でもそろそろヤバいかも。そんじゃ俺、行くから。またな真左ちゃん!」

「……あ、はっ、はい! また!」


トタタタタ、と石段を駆け上がり、勢いよく建物へと飛び込んだ。


「五年前からの亜月から……か」


 手元にある手紙を見直す。

そういえばまだ、読んでなかったっけ。


小向のお兄さんのところに行くことで頭が一杯一杯だったんだ。


手紙を開く。



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