恋愛ウラナイ
タイトル未編集
所詮携帯占い。
すごい期待なんかしてはいけない。

けれど。


『今日のアナタは最高!!金運・学運・恋愛運すべてがMAX!!この幸せ者!!』


…騙された。


教室で1人打ちひしがれながら私は携帯電話の占い結果に呪いをかけていた。


…騙された。


何が『この幸せ者!!』だ。

本日返却されたテストは面白いくらい点数が低かったし、自棄でジュースを飲もうとしたら財布の中身は42円だった。

切なくなって親友の2人に泣きつこうと思ったら、その前に2人揃って彼氏ができたと報告してきて愚痴れず。

幸せ全開の会話に寄せてもらえず仕方無く帰ろうとしたら、外はゲリラ的な雨。

呆然としているうちにクラスの皆は帰ってしまい、傘を貸してくれる人も一緒に帰ってくれる人もいないという状況。


『今日のアナタは最高!!金運・学運・恋愛運すべてがMAX!!
この幸せ者!!』


…騙された。

心の底から騙された。

間違っても親に見せられない答案用紙をぐしゃりとやり、私は息を吐く。

別に本気で携帯占いなんて信じて動いているわけじゃない。

けれど、いいか悪いかといえばいい結果のほうが嬉しいし、日常も少しは華やいだりするものだ。

だがここまで正反対に事が運ぶと恨みがましくなっても仕方がないのではなかろうか。

今日が、

『今日のアナタは何をしてもうまくいきません。金運・学運・恋愛運すべて最低。とにかく穏便に、呼吸だけして過ごしてください』

とかいう結果だったらまだスンナリ状況を諦める事ができたのだ。

…まあ、しかし。

八つ当たりだ。

どうしようもない。

テストの点数が悪いのは自分の勉強不足だし、財布の中身はもっと自分の責任だ。

親友2人の恋愛も喜ぶべき事だし、雨は自然現象だから仕方ない。


……でもなあ…。

………。


私は1人残された教室でしばらくボンヤリし、これでは鬱になると思い立ち上がった。

まるめた答案用紙と教室のゴミ箱を見つめる。

少し距離がある。


よし。

こうしよう。

これが入ったらいい事が起こる!!


気分上昇の為くだらない願掛けをし私は狙いを定めた。

そして、慎重に投げる。


てい。

…あっ。

軌道がズレ…。


確実にゴミ箱に入らないであろう軌道に答案用紙が乗った瞬間、答案用紙はある障害物にぶつかり、見事ゴミ箱にダイブした。

けれど。


私は全然嬉しくなかった。

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